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農協に公認会計士監査導入へ

政府は19年3月末までに全中が一手に引き受けてきた監査・指導権をなくし、地域農協の経営の自由度を高め、各農協の組合長の自立を促すとのことです。農協監査は金融機関や企業と同じ公認会計士による外部監査に移行することになるようです。

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以下、日経電子版(2015/2/10)より。

政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の農協改革をめぐる協議が9日決着した。全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに一般社団法人に転換する。1954年の発足以来60年ぶりの大改革で、農村票を武器に発言力を持つ全中の権限を縮小する。農産物流通の半分を握る約700の地域農協の競争と創意工夫を促し、農業再生を成長戦略の目玉とする考えだ。

 農協改革は岩盤規制改革の象徴の一つとされ、JA全中はこれまで反対してきたが、9日の全中理事会で政府案の受け入れに転じると正式に決めた。JA全中の万歳章会長は記者団に「農家の所得の増大に向けて改革に臨んでいきたい」と語った。自民党も9日、農林部会などの合同会議で農協改革を大筋了承した。

安倍晋三首相は12日に予定する施政方針演説で全中を「廃止」する方針を表明する見通し。いまの国会に農業協同組合法改正案を提出する。

戦後の農政は食糧難に対応するため、コメ増産を最優先にしてきた。コメの集荷を一手に引き受けたのが地域農協で、頂点に立ち指導・監督し、統制してきたのがJA全中だ。だが1970年代以降はコメ余りが深刻化。貿易自由化の流れで国産の農産物は価格競争力で後れをとってきた。安倍政権はコスト削減や輸出など販売ルートの開拓に向けた地域農業の創意工夫を促す。農家の収益力を向上させ、農業を成長産業に変える戦略だ。

政府は19年3月末までに全中が一手に引き受けてきた監査・指導権をなくす。地域農協の経営の自由度を高め、各農協の組合長の自立を促す。農協監査は金融機関や企業と同じ公認会計士による外部監査に移行する。全中監査は「身内意識でなれ合いの面がある」との批判があったが、外部監査で地域農協の経営の独立性と透明性を高める。

全中の監査部門は新たに監査法人として出発することになる。全中が地域農協などから監査料の見返りなどとして集めていた負担金(年間約80億円)もなくなる。任意の会費制に移る見通し。

行政に意見を述べる「建議権」もなくす。建議権は、かつては米価引き上げ闘争で農林水産省の審議会に委員を送り込んだり、農業予算の増額をめざして農相に会談を申し込んだりと、政治力の象徴とされてきた。

農産物の集荷・販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)は株式会社に転換できるようにする。経営力のある農協が出資を増やして発言権を高めることも可能になる。政府は18年にコメの生産量を減らす生産調整(減反政策)をやめる方針を決めている。戦後農政の根幹をなしてきた「コメと農協」の改革に取り組み、農業の成長産業化につなげる。

一方で農協法改正案の付則には全中が地域農協の代表機能や総合調整を担う規定を盛り込むことになった。政府が一定の譲歩を示し、全中も容認する姿勢に転じたが、地域農協への統制力が残るとの懸念もある。全中の下部組織、地方中央会は農協法の組織「連合会」として存続する。全中と地方中央会は「農業協同組合中央会」の名称を使えるように配慮した。

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